平成30年10月30日 本会議

○橋本聖子君 自由民主党の橋本聖子でございます。

私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の所信表明演説について、総理に質問をいたします。

初めに、七月豪雨、大阪北部地震、台風二十一号、二十四号、そして北海道胆振東部地震により亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。被災された方々、その御家族に心よりお見舞い申し上げます。また、全力で救援活動、復旧復興活動に当たられた皆様にも感謝申し上げます。私どもも、政府・与党一体となって、被災地の復旧復興、生活の再建に、引き続き、全力を尽くしてまいります。

さて、本年九月二十日、六年ぶりに自由民主党の総裁選挙が行われました。安倍総理・総裁は、この総裁選挙への立候補を表明するに当たり、日本は大きな歴史の転換点を迎える、平成のその先の時代に向けた新たな国づくりを進めていく、その先頭に立つ決意だと強調されました。

私は、常日頃から、政治は次世代のためのもの、そういう観点を持って政治に向き合わなければならないと心掛けてまいりました。ですので、総理の発言に、そのとおり、頻発する大規模災害、厳しさを増す安全保障環境、国難というべき人口減少や少子高齢化、深刻化する地球温暖化や海洋汚染、歴史的に見てもかつてないほどの大きな変化を乗り越えて、次世代に、すばらしい日本、すばらしい地球を引き継ぐには、今、この瞬間のことだけではなく、次世代のことを考えて取り組むべきだという思いを強くいたしました。

明治時代、新しい風を吹き込み、次世代のための新しい日本をつくり上げる基盤となったのは、福沢諭吉先生の言う多事争論でした。参議院自由民主党は、多事争論の気風があります。様々な意見を交わした上で、決めるときは決め、その上で一致団結して政策を進めてまいりました。

総理には、是非、日本の新しい時代を切り開いていく政策の推進に強力なリーダーシップを発揮していただきたい。と同時に、しっかりと意見を受け止めていただきたいと思っております。私どもも、総理と共に次世代のための新たな国づくりに向けて進んでまいります。本日は、このような視点で総理に質問をさせていただきます。

去る九月六日午前三時七分、北海道胆振地方を震源としたマグニチュード六・七の巨大地震が発生いたしました。今回の北海道胆振東部地震では、今後、早急に対応すべき幾つかの課題が顕在化いたしました。

そのうちの一つが物流の停滞です。地震直後から通行止めなどにより貨物輸送がストップしました。日本の食料基地である北海道の物流が止まったことでスーパーの棚に欠品が出る状況も見られました。その中で、北海道と本州等を結ぶ物流が確保できたのは、港湾での大きな被害の発生を食い止めることができたからであります。物流の拠点となる港湾は災害時に救援物資を受け入れる重要な施設です。その施設の老朽化が懸念されており、災害時に物流を支える港湾施設などの社会資本整備をしっかりと進めるよう強く要望いたします。

更に取り上げたいのは、今回、国内で初めて発生した、電力会社の供給管内全域が停電するブラックアウトです。震源地から離れたところも含め二百九十五万戸の世帯が延べ四十五時間の停電に至りました。漁業や畜産では、保冷庫が動かないことにより水産物や生乳を廃棄せざるを得なくなり、乳牛の乳房炎感染という痛ましい状況にも苦しみました。このような中で、北海道のあるコンビニでは、事前に用意していた、電気や通信回線がなくても使える小型会計端末、ガス厨房器具などで地域住民の皆様の生活を支えていました。まさに、危機管理は三百六十五日、日頃からの備えが大切だという言葉のとおりの災害対応と評価されると思います。

そこで、我が国で初めてと言われるブラックアウトを教訓に、将来の災害対応において、広範囲にわたる地域の住民の生活、病院での治療、診療、農林水産業、さらには治安や国防への影響を最小限に抑えるためには何が大切かを早急に検討し、対応すべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。

地震直後のテレビ映像で、最大震度七を記録した厚真町の山肌が至る所で土砂崩れにより茶色となっているのを見て、我が目を疑いました。五十年以上大切に育て上げてきたカラマツの緑は無残な姿になっていました。森林には、国土保全機能や地球温暖化抑制機能、木材資源の供給、人々の心と体への癒やしの効果など多様なメリットがあります。

一方、林業を維持するには、何世代もバトンリレーのように適正な森林管理を引き継がなければなりません。個人の力には限界があります。来年度から森林環境税、森林環境譲与税が創設されることとなっていますが、林業がもたらす国土保全機能等を考えれば、国土強靱化のための視点からも、適正な管理はもちろん、今回の地震のような災害からの復興等についても、国からの財政的支援を更に充実させていく必要があると考えております。

そこで、自然災害が多発する中、どのような方針で、次世代へと健全な森林資源を継承するとともに、災害にも耐え得る強い林業を育成していく政策を展開していくおつもりか、お伺いをいたします。

次に、外交・安全保障、特に日中、日ロ関係、そして北朝鮮について伺います。

本年十月、日中平和友好条約締結四十年を迎えました。この間、改革・開放路線が軌道に乗り、中国の名目国内総生産は世界第二位、二〇一七年時点で日本の約二・五倍となりました。一方、経済成長と並行して、東シナ海、南シナ海等への海洋進出を強め、我が国を含む周辺各国との間にあつれきが生じております。このような動きには強い危機感を抱かざるを得ませんし、到底看過できません。

中国の脅威が強まる中、先月、海上自衛隊が、南シナ海の公海で、潜水艦や護衛艦部隊による潜水艦戦を想定した演習を実施いたしました。この演習後、護衛艦部隊は東南アジア周辺海域で長期訓練を行い、潜水艦は南シナ海でベトナム・カムラン湾の国際港に寄港いたしました。ベトナム外務省担当は、寄港を歓迎し、日越関係がアジア太平洋地区の平和と繁栄のための戦略的協調関係に高まっていると評価をしております。

我が国への挑発行為に対しては、毅然とした態度で臨むことが重要です。中国の動きに懸念を持つ各国と連携していくことも不可欠であります。同時に、平和友好条約締結後四十年間で積み上げてきた財産を礎に、中国と友好関係を次世代へ深めていく必要があります。

先週、総理は、この四十周年の機会を捉え中国を訪れ、習近平国家主席や李克強首相と会談されました。そして、競争から協調へ、互いに脅威とならない協力のパートナーであるという原則を確認いたしました。同時に、東シナ海の問題についても、総理から日本側の問題意識を伝えた上で、現場の状況の改善を求めました。

そこで、訪中で示された方向性を踏まえ、中国の海洋進出によるあつれきの解消のために具体的にどのように臨むのか、その上で、外交、経済、文化などあらゆる分野でどのように日中関係を深めていくおつもりかという点についてお伺いいたします。

戦後外交の総決算、それは北朝鮮問題を解決し、ロシアとの間で北方領土問題を解決して平和条約を締結することです。

そこで、初めに北朝鮮問題について伺います。

北朝鮮情勢をめぐっては、核、ミサイルの廃棄が具体的に進んでいるわけではなく、日本を射程に収める数百発の弾道ミサイルは今も実戦配備されていると分析されております。北朝鮮の脅威のレベルは変わっておりません。

それにもかかわらず、十月上旬、韓国外相は、停滞する米朝核協議の打開に向け、米が北朝鮮に保有核戦力や核施設のリスト開示を求めるのを当面控える一方、北朝鮮が北西部、寧辺の核施設を国際査察の下で解体するのを受けて朝鮮戦争の終戦宣言を行うなどを取り決め、信頼醸成を進める提案をしたとの記事が米紙に掲載されました。これでは、北朝鮮がリストの提示を拒んだまま、一部施設の解体で逃げることを認めてしまうことになりかねません。終戦宣言に応じれば、在韓米軍の撤収を要求する口実に使うおそれもあります。

安易な融和策ではなく、本年六月の米朝首脳会談の朝鮮半島完全非核化の約束の下に北朝鮮の包囲網をしっかりと再構築することが朝鮮半島の非核化と地域の安定につながることを引き続き米韓に強く訴えていくべきです。次の世代、将来に不安定、不透明な状況を残すべきではありません。

同時に、拉致の解決なくして北朝鮮は未来を描けない、この一線を譲ることなく引き続き対応すべきことは当然であります。総理は、次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならないとおっしゃっておられます。全ての拉致被害者の帰国とともに朝鮮半島の非核化を実現すべく、どのような決意と方針で臨まれるおつもりでしょうか、お聞かせください。

もう一つ、戦後外交の総決算である北方領土問題の解決についてお尋ねをいたします。

一昨年十二月の日ロ首脳会談で協議入りが合意された共同経済活動については、この実施を通じて日ロ双方に相互理解が進むことで、領土問題を解決し平和条約を締結する大きな力になることを期待をしております。一方、領土問題については、平和条約締結との順番をしっかりと確認することが大切であります。

北方領土についても、幾つかの懸念があります。新鋭戦闘機スホイ35が試験配備され、次いで新型地対艦ミサイルも配備されました。今年十月には北方領土周辺で射撃訓練を行ったと見られております。演習通告を受け、我が国政府は、外交ルートを通じ、北方四島に関する我が国の立場と相入れないなどと抗議を伝えましたが、このような動きは、両国民の理解促進、環境整備に逆行しかねません。

本年九月、ウラジオストクで開催された会議では、プーチン大統領は、新しいアプローチとして、平和条約締結後に友人として意見の隔たりがある全ての問題を解決しようと発言をいたしました。このプーチン提案に総理は冷静に対応されておりました。引き続き、元島民の皆様や北方領土隣接地域の皆様などの思いを踏まえながら、共同経済活動のそもそもの趣旨を守った上での進展により、北方領土問題の解決、そして平和条約締結へと進めていくべきであります。

そこで、ロシアの演習等の状況を踏まえつつ、共同経済活動を含め、どのように日ロ関係を進め、領土問題の解決を図り、平和条約を締結する道筋を描いておられるのでしょうか、お尋ねをいたします。

次に、我が国が待ったなしに取り組まなければいけない、国難ともいうべき人口減少、少子高齢化社会の進展に関して伺います。

七十五歳以上の高齢者は、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて急速に増加し、その後も増加し続けます。他方、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は、二〇二五年以降、更に減少します。

総理は、全世代型の社会保障制度へと三年で改革を断行すると強調いたしました。二〇二五年までの残された僅かな期間に、社会情勢の変化に対応した制度、すなわち、現役世代だけではなく、女性や高齢者を始め、誰もが社会の構成員として活躍できる一億総活躍社会をしっかり実現していかなければなりません。

同時に、将来の社会の担い手である子供たちの健やかな成長を保障し、また、生涯を通じた生活上の困難、リスクを現役世代も高齢者も共に国民全体で支えていくことで、全ての国民が安心して暮らせる社会の実現を目指していくことも求められております。介護福祉士など現場を支えている皆様の処遇改善などにより、しっかりとした体制の整備を進めていくことも不可欠であります。

このように、年金や医療、介護、少子化対策など、密接に関連し合う広範かつ包括的な政策の下、あらゆる施策を総動員していくためには、財源もしっかりと示す、これが今だけではなく次世代のことも考えるべき政治家の責務だと思います。

既に法律上、来年十月には消費税率引上げが規定されているところでありますが、人口減少等を克服し、次世代へと我が国の活力を引き継ぐには、全世代型社会保障の実現が不可欠であること、その実現のためには消費税率引上げにより負担をお願いせざるを得ないことについて、国民の皆様が納得できるよう、いま一度具体的にお聞かせをください。

環境問題も、次の世代のために考えていかなければいけない重要な課題です。

近年、これまでとは異なるパターンの豪雨や豪雪、台風の襲来などが見られます。平成三十年七月豪雨の総雨量は過去の雨量と比べて極めて大きいものでした。本年七月の東日本の月平均気温は統計開始以来の記録となるほど猛暑となり、多くの熱中症患者が発生いたしました。地球温暖化により、平均気温は更に高くなり、より強力な台風の襲来も増えると予測する研究機関もあります。

子供たちに灼熱の地球を手渡すわけにはいきません。パリ協定の枠組みを受けて定められた目標達成のためにも、再生可能エネルギーの導入量を増やすなど、低排出なエネルギーミックスの推進と効率化を追求していくべきです。

さらに、もう一つ、深刻な地球規模の環境問題である海洋プラスチック問題についても指摘をしたいと思います。

近年、五ミリ未満のマイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻化しています。北極や南極でも観測されたとの報告があり、全地球規模で広がっております。

残念ながら、重量ベースで見ると、二〇五〇年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過するという予測もあります。

今から十年前、私は外務副大臣としてケニアを訪れたことがあります。その頃から、ケニアでは、家畜が誤ってビニール袋を食べるなどの深刻な環境問題が発生しており、いわゆるレジ袋への厳しい規制が議論されておりました。海外からの持込みにも厳しい目が光っていたほどであります。

四方を海に囲まれ、動物性たんぱく質の摂取を魚に依存している我が国では、マイクロプラスチックなどの海洋プラスチック問題に実効性のある対策を率先して進めるべきと思います。本年六月のG7シャルルボワ・サミットで、日本が議長を務める二〇一九年のG20でも海洋プラスチック問題に取り組む意向である旨の総理の発言がありました。国内での対策はもとより、ASEAN各国を含む途上国を巻き込んだ対策を国際社会に打ち出していくことも求められております。

そこで、来年のG20に向けて、産業界や国民の皆様と共に、海の環境を守り、クリーンな海洋資源を次世代に引き継いでいくために、どのような決意でどのような施策を講ずるお考えでしょうか、お聞かせください。

二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて着々と準備が進められています。大会の成功はもちろん、この世紀のイベントを我が国の将来の成長、次世代への遺産につなげていく努力も大切です。その一つが、我が国の優れた食文化、地域の多様な食の魅力を発信するといった視点です。食事は参加選手たちの大きな楽しみであり、メディアも大いに注目をいたします。

昭和三十九年の東京大会では、海外の選手やマスコミは日本の食事について余り知られておりませんでした。しかし、実際は、我が国のバラエティーに富み、おいしい食事に驚いたといいます。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されていることからも、今回の東京大会では、相当高い期待感を持って海外から大勢の皆様が訪れます。その期待を裏切ることは許されません。あわせて、我が国の食文化、質の高い食材を世界中にアピールできる絶好の機会として活用し尽くすべきです。

東京大会では、組織委員会が農産物の持続可能性に配慮した調達基準を策定し、食品安全、環境保全、労働安全の三つの要件を設定していますが、その中で、選手村に野菜などを提供する場合には、農業生産工程管理のGAPという認証を受けることとなっております。GAPの認証がもらえなければ、選手村で提供されず、チャンスを逃してしまいます。

選手村で必要となる食材は、GAP認証取得農場の年間出荷量を見れば、量的にはカバーできるでしょう。しかし、その上で、我が国の食の魅力を理解してもらい、大会後にすばらしさを世界に更に伝えてもらうには、将来を見据えて、大会のレガシーとしてGAP認証のメリットを広めていくべきです。

台湾のウエートリフティング選手の合宿が開かれる北海道士別市では、地元のJA北ひびきがGAP認証を取得して、認証取得したブロッコリーやアスパラガスなどを使った料理を選手に提供する取組を進めております。

そこで、GAP認証の普及も含めて、二〇二〇年の東京大会を日本の食材を海外に売り出す絶好の機会とするためにどのような戦略をお持ちでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

アベノミクスが始まって五年半を超えました。総理は、五年十か月前に、真っ当な経済を取り戻すと訴えて政権を奪還いたしました。それ以降、円高や株安は修正され、多くの大企業が過去最高の収益を上げています。雇用環境も大きく改善し、雇用者の所得も伸びております。アベノミクスの初期目標は確実に実現されたと言っていいと思います。

ですが、それにもかかわらず、足下の成長は、特に地方で力強さに欠けているという声が聞こえます。個人消費もなかなか伸びません。大都市部への人口の集積と地方からの人口の流出も止まりません。近年、多様性は活力を生み出すと言われておりますが、多様な産業、歴史、自然、文化を持つ地方が衰退することは、我が国の活力も損なわれるということであります。

次の世代に、我が国の多様な文化、社会、産業などを形成する地方を引き継いでいくことも、私たち政治家の役割であります。近視眼的、単眼的な経済原理や政策ではなく、二十年、五十年、百年先を見据えて、次世代を担う人々、地方の将来を真剣に考える人々とも膝を突き合わせながら、我が国の未来を地方から考えることも重要です。人口が多い大都市部からの声が大きく響きがちであるだけに、人口比例だけではなく、地方の小さな声を丁寧に拾って政策に反映させていくべきです。

是非とも、アベノミクスの総決算に当たって、地方創生はどのような成果を上げてきたのか、その成果が地方の実感として捉えられてきたのかという点などについて、政府を挙げて地方の皆様からの声をつぶさに聞いていただきたい。そして、全国津々浦々の地方の人々がアベノミクスによる経済のぬくもりを肌で実感できるような地方再生を実現してほしいと思います。

そこで、アベノミクスの総決算として、次世代に活力ある地方を引き継いでいくために地方創生にどのように取り組んでいくつもりか、総理の決意とお考えを伺いたいと思います。

最後に、憲法改正に対して一言申し上げます。

日本国憲法が制定されて七十年が過ぎました。我が国を取り巻く安全保障環境、経済社会状況、そして国民の意識などは大きく変わっております。憲法は、国民のものであり、国の形を示すものです。時代が変わり、国民の意識も変われば、議論を重ねて、今の時代に即した憲法の姿を国民の前に提示し、国民の判断を仰ぐことこそ民主主義であると信じております。

次世代にどのような形の憲法を残すべきか。次の世代に責任を持つ政治家として、まずは国会の憲法審査会を開催し、党派を超え、真に国民のために、憲法改正に向けた議論をするべきです。

このことを皆様に強く訴えて、私の代表質問とさせていただきます。

ありがとうございました。(拍手)

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