平成27年05月12日 文教科学委員会

○橋本聖子君 おはようございます。自民党の橋本聖子でございます。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、スポーツ庁の設置ということでありますけれども、我が国のスポーツ行政というのは縦割り感が大変今まで強く感じられまして、私もスポーツをやってきた人間といたしまして非常に強い危機感を持っていたところであるわけなんですが、本法律案の提案理由の説明にもありましたように、我が国におけるスポーツ政策については、平成二十三年に成立したスポーツ基本法に基づいて、文部科学省始め関係各省庁が連携してスポーツ立国の実現に向けた新たな取組が始まってきたということになるのですが、既に昨年の四月から、厚生労働省が所管している障害者スポーツ、これが文科省に一元化されて、パラリンピックへの支援の強化、オリンピックと同様に行っていただいているということで、大変心強く今まで思ってきたわけですが、さらに、スポーツ庁が設置されるということにおいては、これからの二〇二〇年のオリンピック、そしてその後のスポーツ行政の在り方、そしてスポーツというものが国にどれだけしっかりとした貢献をしていくことができるのかという将来の非常に大きな夢、希望に懸かっているのがこのスポーツ庁ではないかなと思います。
 まず最初に、基本的なことでありますけれども、スポーツ庁が担う役割、そして今までのスポーツ・青少年局の役割との違い、この二点についてお伺いしたいと思います。
 
 
○国務大臣(下村博文君) おはようございます。
 御指摘のように、スポーツ庁におきましては、従来、文部科学省のスポーツ・青少年局で行ってきたスポーツ振興施策の更なる充実を図ることはもとより、スポーツ基本法の理念も踏まえ、人事交流等を通じて幅広い関係省庁の知見も得つつ、関係省庁の司令塔的な機能を果たしていく予定にしたいと思います。これによりまして、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上などを図り、新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。
 スポーツ庁の設置については、現在のスポーツ・青少年局では、局長、審議官及び三課そして一参事官でスポーツ行政を担当しておりますが、スポーツ庁では、長官、次長、審議官の下に五課二参事官を設けることとしております。定員についても、従来のスポーツ担当七十六名の体制からスポーツ庁では百二十一名の定員を確保したところでございまして、これらによりましてスポーツ行政の推進体制は格段に強化されるものと考えております。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 従来のスポーツの行政の在り方について各省の縦割りによる弊害も指摘されていたということがありますけれども、政府内の調整の結果、スポーツに関する施策の総合的推進を行うスポーツ庁の設置後においても引き続き各省庁はそれぞれの観点からスポーツに関する施策を行うようになったというふうに承知をしていますけれども、スポーツ庁はスポーツ基本法の理念を踏まえ、関係府省の司令塔的な機能を果たす、今大臣が答弁をしていただいたとおりなのですけれども、これはもう大変心強く思っていますが、やはり大臣の継続的な強いリーダーシップが不可欠であると思います。大臣の決意を改めて確認しながら、司令塔的機能の発揮のための具体策というものがどんなものなのか、お聞きしたいと思います。
 
 
○国務大臣(下村博文君) スポーツ庁におきましては、スポーツ基本法の理念も踏まえ、御指摘のように関係省庁の司令塔的な機能を果たし、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上なども含めた新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。
 特に、近年、我が国の医療費総額が年間約四十兆円にも上っている中にありまして、運動によって抑制できる医療費が全体の約七・七%もあるとの調査結果もあります。このようにスポーツは医療費を抑制できる可能性も秘めており、スポーツを通じた健康増進の取組を進めることによりまして健康寿命が平均寿命に限りなく近づくような社会の構築を目指していきたいと考えております。
 私も今後、スポーツ庁長官に今後のスポーツ行政をリードできる適切な人材を選任するとともに、関係省庁の協力を得て、スポーツ庁が充実した体制で発足できるよう準備に万全を期し、またスポーツ庁設置後におきましては、スポーツ審議会や関係省庁で構成するスポーツ推進会議等を活用して、スポーツ庁が日本のスポーツ振興をリードする司令塔的な機能を果たしていけるよう、しっかりリーダーシップを発揮してまいりたいと考えます。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 スポーツ庁長官に求められる資質というのは、やはりリーダーシップ能力、マネジメント能力、そういったことが求められると思いますので、是非適切な方を登用していただきたいと思います。
 また、今大臣から、医療費についてといいますか、スポーツによって健康寿命をより引き延ばしていく、生涯寿命と健康寿命の差が今、日本は相当離れているという、十歳から十二年ですか、そのぐらいの差があるということで、終末医療には特に医療費がかさんでいるという国だということを示していただきましたけれども、そのことについては少しまた後から、スポーツと生活習慣病ですとか、今スポーツが目指していくことの中で医療という問題についてどう私たちは取り組んでいくのかということを、オリンピック委員会、JOCとしても選手を育成する上において最終的な目標、いわゆる人材育成の面においても目標としているところですので、その点については少しまた後から改めて質問させていただきたいと思っています。
 諸外国ではスポーツ省というのが、庁ではなくてですね、スポーツ省というのが当たり前に設置をされている国というのがありまして、当然スポーツ大臣というのがスポーツ行政を担う大変な大きな役割を果たしているという国が多いわけですけれども、諸外国ではそうですが、スポーツを所管する省庁が異なる例も、当然、外国では教育とスポーツというのを離して考えている国もあるのですけれども、我が国のスポーツが学校体育や部活動を基盤として発展してきたことを踏まえれば、文部科学省の中にスポーツ庁を設置するというのは自然の流れではないかと思いますけれども、改めて文科省の外局にスポーツ庁を設置する理由というのをもう一度お聞かせいただきたいのと、もう一つは、やはり学校教育、運動部活動、競技スポーツ、生涯スポーツ、地域スポーツ、こういった連携を今後どのように取っていくことを目指しているのか、その辺について、副大臣、お願いします。
 
 
○副大臣(丹羽秀樹君) 内閣府ではなく文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置する理由でございますが、まず、スポーツ議員連盟のプロジェクトチームが昨年六月に取りまとめていただきました議論のまとめでは、我が国のスポーツは学校体育、運動部活動を基盤として発展してきており、スポーツ施策を効果的に展開する上で学校体育行政は不可分であること、また、現在、内閣官房、内閣府の事務の見直しが進められていることも踏まえまして、スポーツ庁を文部科学省の外局として設置することを提言していただいております。
 スポーツ庁においては、省庁を横断したスポーツ施策を総合的に推進することが求められております。文部科学省が所掌する学校体育や地域スポーツの振興、競技力向上がスポーツ施策の大きな部分を占めるとともに、スポーツを通じた健康増進等を効果的に図る上でも文部科学省が所掌する学校体育や運動部活動の果たす役割が大きいというふうに考えております。これらを踏まえ、スポーツ庁は文部科学省の外局として設置するものとしたものであります。学校教育と一体的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 また、今後の教育を所管する文部科学省にスポーツ庁を設置する利点を生かしまして、やはり外局を設置することでライフステージに応じたスポーツ活動の推進やアスリートの競技力強化を幼児期、学齢期から全年齢的に推進できるようになることが考えられます。
 具体的に、トップスポーツと学校体育や地域スポーツの人材の好循環の創出、運動部活動や地域スポーツ活動の中から潜在能力のある次世代のアスリートを戦略的に発掘、育成する、また、将来的に育成されたアスリートが学校や総合型地域スポーツクラブ等において優れたスポーツ指導者となるようなことが重要というふうに考えております。
 スポーツ庁においては、学校体育とスポーツ行政を一体的に担う利点を最大限生かし、年齢層ごとの特性や生涯を通じたスポーツ活動の習慣づくりの観点にも配慮しつつ、施策を積極的に推進していきたいと考えます。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 具体的なお話をいただいたのですが、スポーツ庁が設置をされることにおいて、トップアスリートへの支援というのも非常に強く推し進めていただくことになりまして、私自身がオリンピック委員会の強化本部長という立場でもあるものですから、ここは、スポーツ庁が設置をされ、トップアスリートを育てていくためにこういった血税をいただけるということは非常に有り難いことと同時に、もう一つは、やはりしっかりとした説明責任、ガバナンス、あるいはコンプライアンスといったものも含めてでありますけれども、それだけスポーツというものが何に価値があるのかということをしっかりと示していく必要があるとすれば、私たちスポーツ界は、スポーツ庁ができたことによってより厳しい姿勢で結果を出していくことを求められているのかなと思いますので、その点については、私どももNF総合支援センターというものもつくりました。脆弱な団体への支援もしっかりとしていくことによって、より開かれた、そして透明性のあるスポーツ業界になっていかなければいけない。これもスポーツ庁ができることによって、私たちがそういった意味においても、ただ単に選手を育てて結果を出すということだけではなくて、より質の高いスポーツというものを目指していく必要があるんだと認識しておりますので、質問というよりも、その点については連携を取ってこれからもやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 その上で、今、トップアスリートを育てていくということに関して、学校の部活動、そしていろいろな企業のスポーツ、それぞれプロ化をしているアマチュアスポーツというのもありまして、その点については、ジュニアの時代から一貫指導をしていかなければもう世界に通用するという時代ではなくなったということもあるのですが、学校スポーツあるいは学校部活動に指導者がいないことによって、やりたくてもそのスポーツをやることができない、顧問の先生がそのスポーツに携わっていないということが原因で部活動に限りがあるというようなことが実態です。
 また、少子化というのも当然伴っているので、当然のことにはなるのですが、やはり諸外国のように地域クラブ的な活動ができるような柔軟性を持ってもらうために、教育委員会、自治体、そしてスポーツ庁と、そういったところがしっかりと連携を取ることによってより子供たちのスポーツの環境整備をしていく、それも是非目指していただきたいなと思います。やはり小学生や中学生を育てていく上において、私たちが育成する指導者がそういったジュニアの指導に、学校の体育の中での指導にも携われるような、副大臣がおっしゃった好循環ですね、人材の好循環型、指導者の好循環型も目指してもらいたいと思います。
 一番大事なのは、小学校、中学校のときは、より完成させないことなんですね。どうしてもそのときに力を発揮させてしまう指導をしてしまう、これは指導者にとって一番良くないことで、より伸び代を最後まで残して、そして完成させないで次の舞台に送り込んでいく、これがジュニアを育成する上において指導者として最高の能力というものになっていくのですが、そういったことをやはりやっていくために私たちスポーツ界を是非教育の舞台でも使っていただく、私たちがそういった人材をつくらない限りそういう活用もしていただくことができないと思いますので、その連携を是非取らせていただきたいと思っております。
 一つ教育の面で更にお伺いをしたいのは、オリンピックのことです。最近ですと自国開催は冬季の長野オリンピックを開催をさせていただいたんですが、このときに一校一国運動というのが非常に知られたといいますか、世界でも大変好評があった運動でした。一つの学校が一つの国に対して徹底的に勉強をして、そして文化交流を図っていくということなのですが、是非これもまた、東京大会においてはホストシティ・タウン構想の検討がありますので、学校というもの、教育の場でオリンピック教育をすることによって、よりこれからの日本の子供たちが、世界に向かって国際的な人材育成ということを考えても必要なことであると思っております。
 外務省、農林水産省、そういったことも綿密な連携協力が必要となりますが、是非、この一国一校運動のときに食を通じた国際交流も図っていただきたいと思います。スポーツは何といっても人をつくるのが基本ですけれども、人をつくるのにはまずは食というもの、そして食文化をしっかりと知ることによって成り立っていくことも政策の柱ですので、その点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 
 
○政府参考人(久保公人君) ホストシティ・タウン構想は、東京大会を契機に、一校一国運動など学校における活動も含めまして、大会の参加国・地域と全国の自治体との相互交流をより一層活発に行うことで我が国の地域活性化やあるいは観光振興等につながるものと認識しております。
 こういった観点から、相互交流を深める方法の一つといたしまして、我が国の食文化について相手国の方に理解を深めていただくことは有意義なことであると考えておりまして、今後、構想の具体化に当たりましては、御指摘の点も踏まえまして取組の充実を図っていきたいと考えているところでございます。
 
 
○橋本聖子君 是非、具体的なことをいろいろな意見を取り上げながら進めていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 あと、時間がもう限られていますので、これは質問ではなく、関連した教育の中でいいますと、スポーツ・フォー・トゥモロー、これは非常に大切なことですので、開発途上国のスポーツの支援、そしてそういった子供たちへのスポーツの指導、これを二〇二〇年の招致活動では強く訴えながら招致活動してきたことがありますので、是非、このスポーツ・フォー・トゥモロー、フォローアップを強くお願いをしたいと思います。
 そして、今年の十月にスポーツ・文化・ワールド・フォーラム、これを開催していただくわけですけれども、これも、開催に向けた準備はもちろんですけれども、これを是非継続的に実施するような形で、大臣には是非お願いをしたいと思います。
 どうしても日本の今この国の現状というのは、スポーツの国際化というのが非常に遅れている部分があると思いますのでお願いしたいのですが、その点について大臣の御所見を是非お願いします。
 
 
○国務大臣(下村博文君) 来年、二〇一六年にリオでオリンピック・パラリンピックが開催されますが、その直後から二〇二〇年東京大会に向けたムーブメントを是非つくっていきたいと。そのキックオフイベントとして、来年ですが、二〇一六年の秋に御指摘のスポーツ・文化・ワールド・フォーラムを東京とそれから京都で開催をしたいと考えております。
 その中の一つとして、御指摘のスポーツ・フォー・トゥモロー、これは橋本先生にも大変先頭に立って御尽力いただいたわけでありますが、二〇二〇年東京大会に向けた招致のときに安倍総理が世界に対して約束をしていたことの一つでありまして、百か国、一千万人の方々にスポーツを通じて我が国が貢献をすると。そのために、来年の秋のスポーツ・フォー・トゥモローについては、スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの中の重要な位置付けの国際会議として入れることによって、できたら世界百か国のスポーツ担当大臣にも出席をしていただきながら、我が国がそれぞれの国に合わせたスポーツ貢献を一千万人の方々にどのような形でやっていくか。
 そして、できたらその一回限りで終わることなく、連続して二〇二〇年に向けて、場合によっては二〇二〇年以降も開くことによって、日本がスポーツ立国それから同時に文化芸術立国として、世界の方々が是非日本をハブとして訪れてみたいというような、これは同時に文化芸術、全国津々浦々活性化することによって観光立国にもつながってくるかと思うんですが、日本の経済の活性化にもつながる大きなきっかけに二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を活用する、そういう位置付けで、来年リオが終わった後からすぐスタートしていきたいというふうに考えております。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 我が国は成熟した国家として世界の平和と共生に積極的に貢献することができる、非常に質の高い貢献をすることができる国だというふうに思いますので、是非お願いをしていきたいです。
 五月六日に日本政策投資銀行の試算が出されまして、スポーツ市場のことが載っておりました。二〇二〇年には我が国のスポーツ関連市場の市場規模は十三兆六百七十六億円に上る見通しで、二〇一二年の実績と比べ一兆六千億円余り、率にして一四%拡大されると試算されているわけですけれども、今後、スポーツに関連したビジネスの拡大を地域の活性化につなげていくか、これはこの国の経済にとっても大きな課題であると思いますし、また、今大臣も答弁していただきましたように、観光ですとかそういうものにもしっかりつなげていくためにスポーツ・フォー・トゥモロー大事だということも御答弁いただきました。
 もう一点、私は何度かオリンピック選手団、日本の団長を務めさせていただいたり、選手とともにオリンピックというものを経験してきた一人なのですけれども、非常に各国に行って残念だなと思いますのは、余り知られていないかもしれませんけれども、競技によって、前半に終わってしまう競技、中盤、後半ということで、これは全部分かれるといいますか期間が限られておりますので、前半組の選手たちというのは選手村にいたくてもいられないわけですね。
 IDカードの数が限られておりまして、これは選手の数によってIDカードの数が決まる、そして選手の数によって役員の数あるいは部屋の規模が決まるんです。ですから、そういう意味では強い国、人数を多く選手を輩出できる国というのはより環境がいい状況の中で選手を舞台に送り込むことができるということにおいては非常に重要な選手強化ということにもつながっていくのですけど、この一枚のIDカードを何名か分で指導者ですとかが渡していかなければいけない。選手村の数に限りがあるので、選手は終わったらもう帰国せざるを得ないか、どこかに合宿に次の大会のために行かなきゃいけないかというような状況なんです。
 大会直前に選手村に入って、試合をしてすぐ帰されるという国や選手がいるものですから、せっかくその国に来ても、文化に触れることなく、お土産を買う時間もなく、もうそうやって帰ってしまうというのが現状なんです。
 そこで、日本としてやはり新しい取組を是非お願いしたいなと思うのは、IDカードを擁することができた選手、監督、あるいはいろいろなスタッフ、そういった方たちには、競技が終わったら必ずどこかで合宿するわけですから、日本国中どこに行ってもしっかりとした合宿ができますよということで、滞在費は全額ではもちろんないにしても、移動費ぐらいは国が、政策の一つの地方創生にもつながっていくことですので、そういった取組を是非考えていただくと、オリンピックが終わって国際競技会は必ずどこかでやるんです、でも、そういったオリンピック後に新たな地方創生のための政策として日本が打ち出すことができれば、国際大会をオリンピックが終わった後に日本の国内どこかでやろうというふうな競技団体、IFが出てくると思うんです。
 そういったオリンピックが終わった後のことも考えて二〇二〇年は新しい取組をしていただきたいと思いますが、大臣、どうお考えですか。
 
 
○国務大臣(下村博文君) さすがに経験、それから専門家ならではの御指摘だというふうに思います。なかなか一般的にそこまでよく分かっていない部分がありまして、御指摘については本当に考えなくちゃいけないことだと思います。
 特に我が国においては、今、地方創生が政府の大きな政策の一つになっているわけでありますが、この二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが東京一極集中を加速させるということではなくて、日本全体を元気にし、更なる発展を目指すための大きなチャンスとして捉えることが重要であるというふうに思います。新たな日本の創造を果たすような総合的な対策をオールジャパンで推進させることによって、東京大会の効果を日本全国に波及させるべきであるというふうに思います。
 我が国におきましては、日本人ならではのおもてなしの心や、あるいはクールジャパンとして世界を引き付ける文化芸術、世界無形文化遺産にもなった和食、世界最高の物づくり技術など、様々な強みもあります。二〇二〇年大会では、各地域の芸術文化行事とも連携した文化プログラムを実施することなどによりまして、同時に我が国の強みも最大限アピールするチャンスだと考える必要があるのではないかと思います。
 また、今御指摘がありましたが、二〇二〇年に向けて訪日外国人旅行者数を二千万人の高みを目指すと。それから、昨年六月に全閣僚を構成員とする観光立国推進閣僚会議におきましてアクション・プログラム二〇一四を決定したところであり、その中には、東京大会を機に訪日する外国人旅行者の受入れ環境整備について、多機能フリーパスの検討、それから航空による地方へのアクセスの充実、また、地方への鉄道旅行の促進等が検討事項として盛り込まれておりましたが、今御指摘の、選手の皆さんがその後も日本に滞在をしてもらって地方でいろんな合宿やあるいは大会に向けた準備、あるいは大会そのものという発想は今まで深い議論の中ではありませんでしたから、今の御提言踏まえましてしっかり検討しながら、関係府省とも連携を密にして東京大会の効果を全国的に波及させ、また選手の、特に先ほど一校一国運動というようなことも御指摘されましたが、トータル的な活性化に向けた戦略もしっかり考えていきたいと思います。
 
 
○橋本聖子君 具体的にありがとうございます。オリンピックに来た観光客をどうやって地方に促すかということだけではなくて、選手本体が地方に行きやすい状況をつくってあげる、そしてその地方で合宿と文化プログラムを組んでいただければ選手は非常に行きやすく、必ず行くと思いますので、それに観光客が付いていくということも考えられますから、是非全体的な構想の中で考えていただきたいと思います。
 先日、ダボス会議主催の世界経済フォーラム、これ、最新の旅行・観光競争力の報告書においては、日本は観光競争力、百四十一か国中九位だったということで示されましたけれども、オリンピックを通じて観光競争力を付けていけば政策投資銀行のこの試算を上回ることも可能だと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 一つ、時間がもうなくなりましたので一方的な話になりますが、先ほど生活習慣病とスポーツという話させていただいたんですけれども、私たちは、生活習慣病、こういったことをスポーツの力を通じていかに医療費の削減を図ることができるか、これを最終的に私たちスポーツ界の目標と今しているところであります。そして、育成した選手やコーチがそういった地域の医療現場にどのように携わることができるかということも研究していく必要があるんだと考えているんですけれども、やはり食事と運動を中心として生活指導を行うというのが基本だと思うんですね。スポーツ界の医療チームは、徹底した予防医療と予防医学から成り立って選手を育成していますので、病気にならない、けがをしない、これが基本のオリンピック委員会であります。
 そういう意味では、最近のデータですと、人口十万人当たりの透析患者数、これは日本が断トツ、十万人の中で日本は二百三十人、二位のアメリカの約二倍ということで、こういったことも食生活や運動というものを取り入れることによっていかに健康寿命を延ばすことができるか、そして医療費の削減につながっていく、これを目指していきたいと思います。
 自助、共助、公助というふうにありますけれども、まずは国民一人一人が自助努力をしなければこれは達成できないのです。自助努力をするということは、やはり一人一人が健康になっていく。そうすると、スポーツ行政を担うトップであるスポーツ庁は、やはりメタボな人がいては駄目だと思うんですね。百二十一人で成り立つスポーツ庁でありますから、全てがお手本になって自助努力をして、そして自助努力をすることによって共助がより強くなり、公助というものが伴っていくと思います。
 メタボ率を聞きましたら、個人情報だからあげられないと言いました。でも、見ただけですぐ分かりますので、是非そこはしっかりとした人選をしていただいて、スポーツ庁こそがより率先した、健康的であるということを示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。