スポーツの地位向上

2014/12/23 朝刊 スポートピア 通常版

19年前に参院議員に初当選したとき、「経済がわからないオリンピック選手がなぜ政治家になるのか」と揶揄されたのを思い出す。自分の議員生活は、スポーツの地位向上にまい進してきた時間と言えるかもしれない。もちろん、それが国民生活も豊かにすると信じてやってきた。

今ほど、社会とスポーツが密に関わり合っている時代はないと思う。トップアスリートの活躍で競技スポーツが活性化すれば、ピラミットの裾野も広がる。それに伴って新たな需要やブランド価値が生まれ、スポーツ文化が産業化する。

戦後、主要産業で先進国に追いつき、追い越してきた日本だが、スポーツ産業に関しては欧米に見劣りする。現在、日本のスポーツ関連市場は約4兆円とされるが、米国は15兆円ともいわれている。アスリートの活躍する姿がもたらす教育的な効果、エンターテインメントとしての影響力は計り知れないが、その価値はまだまだ認められているとは言いがたい。

2015年度予算の概算要求で、20年東京五輪・パラリンピックを見据えた選手強化費は今年度より95億円増の178億円が計上された。競技団体が国の補助を受けて合宿などを行う際に求められた3分の1の自己負担を解消することも、要求項目に盛り込まれた。

「産業」を育成するための投資と考えれば、決して高すぎる額ではないと思う。ただし、投資をするならば、その分は回収されなければならない。スポーツ界がメダルを目指さなければいけない理由でもある。

アスリートの有効活用もその一つだ。文部科学省は競技生活を終えたアスリートが指導者になれるように各競技団体に助成を行っているが、実際に採用される選手は一握りにすぎない。

学校の体育授業や部活動、総合型クラブでは指導者の確保に腐心している。アスリートの引退後のセカンドキャリアが確立されれば、雇用の好循環も生まれる。広く国民が正しい指導を受けてスポーツを楽しむようになれば生活習慣病を予防でき、医療費の削減にもつながる。

国際競技力の向上、そして国民を幸せにする教育・福祉・エンターテインメント装置としての役割を考えた場合、競技スポーツの強化を含むスポーツ振興は、国の未来を描く上で重要な政策課題の一つと位置づけられるべきだ。だからこそ、来年にはスポーツ庁の発足を実現してほしい。

少子高齢化が急速に進む日本。そして、20年を境に東京の人口さえもピークアウトするといわれている。いずれも世界中の成熟社会が直面している問題でもある。スポーツの力で健康寿命を延ばし、余暇を充実させ、心豊かに生きる。20年東京五輪を通じて世界に一番発信したいメッセージである。

(日本スケート連盟会長)

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