女性輝く環境 もっと

2014/07/31 100 スポーツピア

先般、東京都議会や国会でのセクハラやじが問題になったが、15年前に参院議員の私が妊娠したことを発表した際は多くの励ましの声とともに様々な批判も浴びた。なかでもショックを受けたのは「議員は片手間にできるものではない。子どもを産むなら離職しろ」と言われたことだった。

当時から少子高齢化対策は急務といわれていたが、子育てや産休に対する社会的理解は進まず、つらい思いをしている女性は多かった。そうした社会の改善に汗をかいてきたつもりだったが、無力感を味わわされた。

また、私が現役選手だった時代は、個人競技の女子選手は大学卒業と同時に引退するのが普通で、31歳まで続けた私は極めて異例だった。「早く引退して結婚しないと生き遅れるぞ!」などと、心ない言葉を浴びせられたことも一度や二度だけではない。こうした差別的発言が女性の社会参加や自己決定権を妨げてきたという意味で、問題の本質に変わりはないだろう。

オリンピック憲章はその根本原則において、あらゆる差別の撤廃を掲げている。2012年のロンドン五輪で、国際オリンピック委員会(IOC)はこれまで女子選手が参加したことがない国に積極的に派遣を呼び掛けた。カタール、サウジアラビア、ブルネイから初めて女子選手の派遣があり話題を呼んだ。ボクシングでも女子種目が追加され、全26競技で男女参加が実現した。

2月のソチ五輪ではジャンプ女子が正式種目になった。日本オリンピック委員会(JOC)は冬季大会では過去最高の113選手を派遣したが、男子48人、女子65人と初めて女子の数が男子を上回った。その中にはママさん選手も3人いた。文部科学省で女性アスリート支援の予算がつき、医科学サポートのみならず、保育所やベビーシッターの費用補助も実現した。女性の力が活力になるのはビジネスもスポーツも同じだ。

ところで五輪は4年に1度なので、試合当日にピークを合わせる調整が難しい。とりわけ生理の影響や体つきが変わりやすい女子はコンディション調整が難しい。私自身も自転車競技で出場したソウル大会で調整に失敗し、予選落ちした苦い経験がある。どんな名選手でも最高潮を維持できるのはほんの一日か二日に限られる。選手がストレスや身体状況を指導者に相談しやすくする環境づくりも大切だ。

スポーツの歴史は女性の進出や活躍の歴史ともいえる。だが、解決すべき課題も多く残されている。子育て中のアスリートが競技と家庭生活を両立する難しさもあるし、競技団体の役員に占める女性の割合もまだまだ低い。現役引退後もスポーツ界にとどまって活躍できる女性を育てることが、本当の意味で女性が輝けるスポーツ界の実現につながると思う。

(日本スケート連盟会長)

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