平成28年05月02日 決算委員会

○橋本聖子君 自民党の橋本聖子でございます。
 本日、久しぶりに決算委員会での質問をいただきまして、誠にありがとうございます。
 オリンピックについて中心にお話をさせていただきますが、その前に、まずもって、この度の熊本、大分を中心とした九州地域における災害において多くの犠牲者を出してしまいました。お亡くなりになられた皆様方に心からの御冥福と、そして今もなお援助を待ち、そしてさらに、復興に向けて御努力をしていただいております皆様方にお見舞いとそして敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 五年前になりますけれども、東日本大震災が発生をいたしました。そのときに、私自身が直接的に携わる、特にスポーツ諸団体は大変な大きな迷いを、生じました。それは、やはりあの状況を見る中で本当に今スポーツをしていいんだろうか、こんなことをしているべきではないんではないかというようなことが起こりまして、そして、次のちょうど年がロンドンのオリンピックだったわけですけれども、このままでロンドンに行くという状況は大変難しいんではないかというようなことも正直ありました。ですが、一人一人が、何ができるか分からない、その中でも頑張っていこうということで被災地に足を向けていく中で、私たちはやはりスポーツで日本を元気にしなければいけないんだということを思い付き、そして行動に出た結果が大変すばらしい結果をもたらしてくれたと感じました。
 その中で、昨今、スポーツ団体の不祥事が相次いでいる、そのことを受けまして、最近、特にアスリート委員会というのを発足させまして、それぞれのNF、各競技団体が、アスリートが自ら不祥事に対して、あるいはあらゆる問題について社会貢献をするべきときにどのような状況を日頃からしていったらいいのかということを話し合う、言わばそういう機関をJOCあるいは体育協会から、これはもちろん文科省、スポーツ庁からの命令もいただいてのことでありますけれども、各NFでアスリート委員会を設置しておりました。
 その関係もあって、日頃から選手たちは自分たちが今やるべきことは何かということの中で、今、熊本を中心とした九州における災害に対していち早く大会等での募金活動、あるいはこのゴールデンウイークには選手個々に現地に行ってスポーツ施設の状況や、あるいは被災に見舞われてしまったアスリートたちの援助、これを自ら自分たちの手でしっかりと貢献をしていかなければいけないということで立ち上がっているような状況であります。
 せっかくそういうふうな状況を導いていただいた方がいる中で、バドミントンの闇賭博であったり、先日はスノーボード選手の大麻吸引の問題等が起こってしまいまして、JOCの強化本部長という立場で、行動規範を遵守してしっかりとした人間力豊かなスポーツアスリートでなければいけないということをテーマにしてきたわけですけれども、それが最終的にはなされていなかったということに大変大きな反省をしながら、そして責任を重く受け止めながら、これから直接的にアスリート個々にもしっかりとした行動規範、そして教育のシステムの改革をして、より尊敬され、そしてメダルというものに向かっていく中で、そのメダルの価値を高めていくことができる人間力豊かなアスリートをつくり上げていこうと考えております。それがこの国の二〇二〇年につながっていく教育の一環でもあり、そして国に対しての、スポーツという、すばらしいと思っていただいている皆様方への、私たちはしっかりとした教育をしていく中で信頼回復に努めていかなければいけないと思っておりますので、また、その点につきましても、両大臣におかれましては、是非オリンピック委員会等について御指導、御鞭撻をいただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。
 まず、心からおわびを申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。
 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、スポーツ基本法について、本当の基本的なことからお尋ねをしたいと思います。
 ちょうど四年八か月前になりますけれども、スポーツ立国を目指して、スポーツ戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するためにスポーツ基本法が議員立法によって制定、施行されました。第三条と四条、国、地方公共団体はスポーツに関する施策を策定し実施する責務を有すると定め、八条では、政府はスポーツに関する施策を実施するために必要な法制上、財政上、そして税制上の措置その他の措置を講じなければならないと定めていただきました。
 これによってスポーツ界も、やはり国の責務ということを明確にしていただいたことによって、スポーツ界もやはり国からの助成をいただく、それにはしっかりとした説明責任、結果責任を果たしていかなければいけないという責任感の下で強化対策もさせていただいてまいりましたけれども、政府としては、この四年八か月の間でどのような施策を策定し、そして実施に向けてこられたのか、まず、文部大臣にお伺いしたいと思います。
 
 
○国務大臣(馳浩君) まず、二〇二〇年のオリパラ東京大会を招致するに当たって復興オリンピックという位置付けを高く掲げております。したがって、東日本大震災の被災地に向けてもそうですが、今般の熊本を中心とする震災の被災地に向けてスポーツ界挙げてやっぱり復興に向けての取組をお願いしたいと思いますし、目前に控えておりますリオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックの大会に向けましても、代表となった選手諸君には熊本の被災地に対して強い思いを向けながら大会に臨んでいただき、大会が終わった後も被災地を訪問していただくように、そして勇気付けていただくことをお願いしたいと思っております。
 また、相次ぐスポーツ界の不祥事に際しましては大変遺憾な状況であるということを申し上げると同時に、我が国はスポーツには教育的な側面も高く価値観として評価しているところでありますので、改めて、選手ばかりではなく、指導者、また各団体の幹部も含めて、心を引き締めて、このスポーツに対する取組を見直していただきたいと思っています。まさしく、私も申し上げましたが、メダルよりも大切なものがあります。そのことを忘れないで取り組んでいただきたいと思います。
 さて、スポーツ基本法が成立し、自来およそ五年間、どうやって政府として取り組んできたかというお尋ねであります。
 例えば、トップアスリートの活動拠点であるナショナルトレーニングセンターのパラリンピック競技との共同利用化を含む機能強化をしております。さらに、スポーツ振興の観点から行う障害者スポーツに関する事業を平成二十六年度に厚労省から移管し、スポーツ振興の一体的な推進を図っております。また、二〇二〇年までに百か国一千万人以上を対象にスポーツの価値を広げていくスポーツ・フォー・トゥモローの事業を展開しているところであります。昨年十月にはスポーツ庁を創設し、社会においてスポーツが果たす多面的な役割の重要性に鑑み、国際競技力の向上はもとより、スポーツを通じた健康増進、地域や経済の活性化、国際貢献などについて関係省庁と一体となって総合的に推進しているところであります。
 今般、スポーツ審議会において次期スポーツ基本計画の検討を開始したところであり、二〇二〇年オリパラ東京大会以降も見据え、誰もがスポーツを楽しむ環境を整えるとともに、日本から世界へと多様なスポーツの価値を広げてまいりたいと思っております。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 特に、東京オリンピック・パラリンピックが決定をいたしましたときが追い風となって、こういった問題がどんどん解決をしていただくようになりました。今まで、ナショナルトレーニングセンター、これももっともっと拡充をしていただかなければいけないわけですけれども、特にパラリンピックの選手のためのそういった施設というのは諸外国に比べて大変な遅れがありました。その中で、少しずつ拡充をしていただいているということ、これも有り難く思っております。
 また、スポーツ・トゥモローですけれども、これはやはり日本にしかできないことであると私は思っておりますので、日本から発信することによって、よりスポーツというものは平和活動だということを、これはオリンピック・パラリンピックの理念でもありますので、そういったことを国を挙げて是非バックアップをしていただければと思っております。
 スポーツ基本法十二条に制定されているところですけれども、スポーツ施設の整備に関してお尋ねをしたいと思います。
 日本再興戦略に盛り込まれた、これは平成の二十五年六月ですけれども、待機児童解消加速化プラン、これを、国有地を活用した保育所整備ということに基づいて、例えば廃止宿舎跡地などの国有地情報を積極的に提供させ、そして継続的なフォローアップを行って待機児童の解消に向けた取組に大きく貢献をされてきたということ、これは非常に有り難い取組であったと、これからもその拡充に期待をしているところです。一方、財務省が公表しております平成二十六年度末の国有財産の現在の額を見ると、普通財産の土地のうち未利用の国有地約五千億円が計上されておりまして、これは長期間にわたって未利用になっていて、そして、さらには都市部の財産も含まれていると承知しているんですけれども、これは、スポーツは人と人を結び、地域と地域を結ぶ、そしてこれから健康長寿社会を築いていくためには、地域社会においてスポーツの施設というものに是非有効活用していただくというようなことができないのかどうか、これについて、文科大臣、そして財務省からもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 
 
○国務大臣(馳浩君) 未利用国有地、結構いい場所に持っているんですね。そして、スポーツが地域活性化に資するということを考えると、やっぱり公共交通機関の近くにあるような未利用国有地は有効に活用できる可能性を秘めているということをまず申し上げたいと思います。
 そこで、御指摘の未利用国有地については、身近なスポーツ施設の整備を行っている地方公共団体が、用地確保に当たって財務省に相談するなど、未利用国有地の処分のルールに基づいてスポーツ施設の整備に活用することは、スポーツ施設の整備を推進する方法の一つとして有力な方法として考えられます。
 スポーツ庁としては、地方公共団体からのニーズを踏まえて対応していきますし、また、学校施設環境改善交付金やスポーツ振興くじ助成金により、引き続き地域のスポーツ施設の整備を支援してまいりたいと思います。
 
 
○政府参考人(中尾睦君) お答え申し上げます。
 未利用国有地につきましては、現下の厳しい財政事情や復興財源確保の必要性等を踏まえ、従来から、国として保有する必要のないものは売却し、財政収入の確保に取り組んでおります。他方、未利用国有地は国民共有の貴重な財産であることに鑑み、公用、公共用を優先するとの考え方に基づき、地域や社会のニーズに対応した有効活用にも取り組んでいるところでございます。
 委員御指摘のスポーツ施設整備のための未利用国有地の活用につきましては、これまでも、地方公共団体において広く住民が利用するスポーツ施設を整備するに当たり、国有地を適切に提供してきておるところでございます。
 財務省といたしましては、今後とも、地元地方公共団体の御要望を伺いながら国有地の有効活用に努めてまいりたいと考えております。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 やはり、地方公共団体がその部分においてしっかりと連携を取っていかなければいけないということは十分承知しているんですけれども、是非財務省からも、またあるいは文科省からも、そういったやりやすい方向に働きかける、促していただけるというような指導も同時に行っていただければ有り難いなと思いますので、今後とも御指導よろしくお願いをしたいと思います。
 一九九〇年代後半から、スポーツ施設整備、運営の効率を高めるために、PFIですとかあるいは指定管理者制度、寄附などの様々な形で、公的な部分だけではなくて民間からの活力も、しっかりと助成をしてもらわなければいけないということで税制改正もされてきました。特に税制優遇という面においては、制度改正も少しずつなされてきているのですけれども、なかなか日本はまだ寄附文化が醸成されていないといいますか、その部分がありますけれども、税制に対しての優遇措置というのも今後考えていただきたいと思いますけれども、そのことも含めて大臣から、税制優遇に対してなのですが、日本がなかなかそういった文化にまだ、アメリカとは程遠い文化がありますけれども、その点について御指導いただければと思います。
 
 
○国務大臣(馳浩君) 今までは、こういった財源の確保等については超党派のスポーツ議連を通じて様々な提案をいただいて実現してきた経緯もありますので、スポーツ議員連盟の動向も踏まえて対応したいと思います。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 次に、アクションそしてレガシープランの意義と広報活動について遠藤大臣にお伺いをしたいと思います。
 二〇二〇年、東京で行われるこのスポーツの大会は、二〇二〇年以降の日本の姿を表していくことがまずは必要ではないかなと思っております。スポーツと健康をまず一つの柱、そして街づくり・持続可能性、そして文化・教育、経済・テクノロジー、復興・オールジャパン・世界への発信、この五本柱を各ステークホルダーが一丸となって包括的にアクションを進めていくというプランを策定をしていくということでありますけれども、今後、オリパラ大臣として、アクションとレガシーという考えの意義と広報活動、これをまずお聞かせいただきたいと思います。
 
 
○国務大臣(遠藤利明君) お答えする前に、先ほど、こうした震災のときにスポーツかと、あるいは震災のときにオリンピックかという話がありました。私たちも大変大事にしなきゃならない観点だと思いますが、しかし同時に、あの大震災のときに室伏選手や多くのオリンピック・パラリンピックの選手が被災地へ赴いて、そして子供たちに勇気を与え、元気を与えてくれたと。それぞれの持ち味があるんだろうと思っております。そうしたスポーツの持つ力を生かして、そして震災の復興に当たっていく、また、復興オリンピックとして、そうしたつながりをしっかり持って、まさに日本人として日本国みんなが力を合わせて復旧に当たっていく、こんなオリンピック・パラリンピックにしなきゃならない、そんな覚悟を持って臨みたいと思っております。
 さて、先ほど委員から指摘ありました。私、常々申し上げておるんですが、大会の成功の条件はまず何よりも安心、安全な運営をすること、そして同時に、二つ目はメダルをしっかり取ること、そして三つ目は大会後に様々な分野での次世代に誇れる遺産、いわゆるレガシーを残すこと、大きく言えばこの三つにあると思っております。
 昨年十一月に閣議決定をしましたオリパラ基本方針においても、基本的な考え方の中で次世代に誇れるレガシーの創出と世界への発信を掲げ、地域の活性化等を推進するホストタウンや文化を通じた機運醸成、ユニバーサルデザイン、心のバリアフリーの取組などを進めております。
 今年一月に組織委員会にて取りまとめられましたアクション&レガシープラン中間報告については、委員御指摘のように、今、政府、東京都、経済界等関係団体のレガシー創出に向けた取組とその方向性をまとめたものと承知をしております。政府としましても、引き続き、組織委員会や東京都等と緊密に連携しながら、レガシー創出の取組を加速するとともに、世界に向けて発信をしていきたいと思っております。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。やはり、何といっても安心と安全の大会でなければいけないと思います。それがやはり一番信頼性の高いのはこの我が国日本ではないかと思いますので、しっかりとサポートをお願いしたいと思います。
 政府、東京都、経済界、JOC、JPC、これだけでもたくさんの組織がある中で横串を入れていくということは、遠藤大臣、大変なお仕事だと思いますけれども、このことに関して、やはり成功の鍵はこの横串をどのようにしっかりと刺していくかということになっていくと思いますので、是非お願いをしたいと思います。
 一点、私自身、選手としてオリンピックに七回出場しました。実は、一回目、二回目ぐらいのオリンピックは、オリンピックというものは何が何だか分からないような状況で参加をしたというのが実体験であります。その後、五回大会、全部で七回、そしてサポート役として四回大会に行きました。役員として団長や副団長を務めさせていただいて、今度のリオが選手団長を務めさせていただく予定でありまして、全てで十五回のオリンピックに携わったということになるわけなんですけれども……(発言する者あり)いえ、これは全然すごくはないんです。
 実は、何を申し上げたいかといいますと、やるのと見るのと支えるのとでは全くオリンピックというものが違って見えるということなんです。大事なことは、やる側の、支える側の方たちが、これからオリンピックがリオであります、その後に平昌オリンピックがあります、国際大会がたくさんある。そして、当然、その前に、オリンピックの前にワールドカップラグビー、これを大成功させなければいけない。これは、その大会に赴いて、その組織委員会の中に入って、そして勉強をしていただく、実体験をしていただくことが二〇二〇年に向かっての大きな鍵だと私は思いますので、多少の予算は掛かるかもしれませんけれども、二〇二〇年に向けての成功は人を送り込むことだと思いますので、是非それをしていただきたいということを併せてお願いをしたいと思います。
 まさにリオに向けてでありますけれども、これから選手代表に向けて取り組んでいくことというのは、当然日頃から馳大臣に御指導いただいているわけですけれども、もう一度、トレーニングセンターの拡充のお話がございましたけれども、今後、冬の大会ももちろんあります。二〇二〇年に向けて、リオということの先を見据えた中で、これからどういったアクションプランというものを文科省としてお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 
 
○国務大臣(馳浩君) まず、昨年度から実施しております競技力向上事業においては、平成二十八年度予算において八十七億円を計上し、選手強化費の充実を図るとともに、各競技におけるKPIの達成状況の評価を通じてPDCAサイクルを強化することによって、更に戦略性を持った選手強化に取り組んでいるところであります。
 また、ハイパフォーマンスサポート事業では、リオ大会においてメダル獲得が期待される競技をターゲットとして、アスリート支援や研究開発においてスポーツ医科学、情報などを活用しながら、多方面から専門的かつ高度な支援を実施しております。
 さらに、トップレベル競技者の強化活動拠点であるナショナルトレーニングセンターについては、二〇二〇年東京大会に向けた利用者の増加やオリンピック競技、パラリンピック競技の更なる共同利用を見据えて拡充に向けた取組を進めております。
 本年四月からは、国立スポーツ科学センターやNTCを有する西が丘地区にある機能を一層連携し、競技力向上機能を更に強化するとともに、JSCやJOC、JPCの共同体制を構築するためにハイパフォーマンスセンターを設置したところであります。このハイパフォーマンスセンターについては、ジャパンハイパフォーマンススポーツセンターという名称に位置付けをした上で、やはり多くの公的資金を使うことになりますので、きちんと評価も専門的にしながら、それはそうであってもより一層の強化を伸び伸びと行うことができるような、そういう強力な体制をつくって、国内外にそのジャパンハイパフォーマンススポーツセンターの位置付けを示した上で、同時に、効率的に強化費を活用していただきたいと思っております。更なる文科省としての支援をお約束をしたいと思います。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 やはり血税ですから、その部分を選手の育成の部分において拡充していただくというのは大変有り難く、その中で私たちはしっかりとその責務を負わなければいけないと思っています。
 ただ、一方でなんですけれども、例えば韓国の国立スポーツ学校、体育学校であったり、あるいはフランスのINSEP、あるいはロシアのスポーツ体育学校、国立、こういった施設を見ますと、とてもかなわないなというのも実感としてあります。やはりそういった整備をしていただくことがより選手の士気を高めパフォーマンスを高めていくことにもなりますので、より一層の拡充のスピード感を持ってやっていただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
 外務省にお伺いをしたいと思います。
 昨年の十二月に、外務省の皆様方の御協力もいただきながら、各競技団体の現場のコーチや監督、スタッフを連れてリオデジャネイロ、最終の視察に行ってサポートセンター等の施設を決めてまいりましたけれども、治安の悪化、ジカ熱、あるいはリオ、サンパウロでの反政府運動ですとか汚染問題や整備の遅れ、こういったことが指摘をされました。
 この点について、外務省としての近々の取組をまず今日、教えていただければと思います。
 
 
○政府参考人(能化正樹君) お答え申し上げます。
 海外における邦人の安全確保は政府の重要な責務であり、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックのために現地を訪問する日本選手団や日本人観光客等のための安全対策は非常に重要であると認識しております。
 現在、リオデジャネイロにつきましては、外務省から危険情報及び感染症危険情報のレベル一、十分注意してくださいというものを発出し、またスポット情報も発出して、一般治安の悪化やジカウイルス感染症に関し、現地の状況等を詳細に説明しつつ、注意喚起を行っております。
 また、オリンピック・パラリンピックに向けた安全の手引などを作成し、関係団体や旅行会社等に配布しておりますほか、在リオデジャネイロ総領事館にて特設ホームページを開設し、現地での防犯対策等、具体的な注意事項について積極的に発信を行っております。
 日本オリンピック委員会や日本パラリンピック委員会主催のセミナーにおきましては、外務省職員による安全対策講義も実施いたしました。さらに、ブラジル政府に対しても、四月十三日に開催された日ブラジル領事当局間協議を始めといたしまして、様々な機会を通じて邦人の安全対策について随時協力申入れを行っております。
 引き続き、外務省海外旅行登録、たびレジへの登録の呼びかけを含めまして、海外安全情報の適時適切な発出を始めとする情報発信の強化等を通じて邦人の安全対策に万全を期してまいる所存であります。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 外務省が中心となってそういったパンフレット等を作成していただいているということですが、各省庁横断的に情報を取り合いながらまとめていただければと思います。
 感染症を研究する方から御指導いただいた中では、例えばジカ熱は、特に男性は自覚症状がないというお話でありました。精子にその感染症が潜伏するということでもありました。その期間ですとかそういったことも含めて、安全対策のために呼びかけをしていかなければいけないと思っておりますので、そういった視点からも是非お願いをしたいと思います。
 ドーピングについてお伺いをしたいと思います。
 テニスプレーヤーのシャラポワ選手であったり、あるいはロシアの陸上であったりと、こういったことが今横行しているような状況であります。WADAの取組というもの、そしてJADAの役割というものをもっと強化していく必要があるのではないかと思っております。
 その中で、スポーツドクターに限らず全ての医師にドーピングについて学んでほしいと思いますが、今医学教育のモデル・コア・カリキュラムにおきましては薬物、毒物について学ぶようになっていますけれども、広く国民を薬物から守るためにこれをカリキュラムに盛り込んでほしいというスポーツドクターからの要望も受けているんですけれども、文科省としてどのようにお考えでしょうか。
 
 
○国務大臣(馳浩君) 医学教育においては、卒業までに学生が身に付けておくべき必須の能力の到達目標を提示した医学教育モデル・コア・カリキュラムの中で、的確な薬物療法を行うための基本的な考え方を学ぶことが盛り込まれております。
 ドーピングについては、スポーツ医学に関する教育の中で、幾つかの医学部において、例えばスポーツと医学の科目を設け、ドーピングの問題点について指摘できるといった行動目標を掲げた教育が実施されていると承知しております。
 文科省としては、アンチドーピングに関する教育の充実について医学部長会議などにおいて周知してきているところでありますが、今後も引き続き要請してまいりたいと思います。
 
 
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 今、中学生がオリンピック、パラリンピックに出場する時代になりました。これから中体連、高体連、インカレ、こういったところにもやはりドーピングコントロールというものを義務付けるような状況になる可能性も私は高くなってくると思いますので、文科省からのそういった御指導をお願いしたいと思います。
 私が初めに世界大会でドーピングを経験したのが十六歳でした。もう三十何年前ですが、大変な緊張をしたのがまず覚えています。まず、採尿カップを渡されます。そして、ドーピングコントロール室の中のトイレが設置されていまして、その中に入る。最初は実はドアがありました。それが二年後、ドアが取られました。私は当然だと思いました。それはなぜかというと、毎年不正が行われているのを、今、三十何年前だから言えますけれども、不思議な思いと同時に、こんなことをされていたのでは絶対に日本人は勝てないなというのが最初の印象でありました。なぜドアが取られたのか。それは、ドアがあって中で採尿をする、人の尿を持っていっているからなんですね。
 最初に十六歳で同じくジュニアで出た、旧東欧諸国です、国威発揚という観点からスポーツをやっていた国であります。次の年、その女性選手、ぱっと見ますと喉仏が出ていました。そして、毛がすごい毛深い。次の年、お尻の位置がとても高い。これはもちろん女性ですけれども、ドーピングコントロールによって筋肉増強剤が打たれていたという実態でした。その選手は大変な活躍をされ、メダルも取りました。ですが、そのアスリートが終わった後、大変な状況に陥っております。
 そういったことをやはり考えていくときに、スポーツというもの、そして薬物とドーピングというもの、これは絶対的に撲滅しなければいけない、一つの教育だと私は思います。そういったことも含めて強化対策というものは国を挙げてやらない限り、二〇二〇年のオリンピックを成功させる信頼性に結び付いていかないと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
 最後、時間がなくなりました。実はチーム医療の部分を一番聞きたかったんです。
 JOC、オリンピック委員会は、チーム医療を施させていただいて、けがをしない、病気をしない体をつくり上げて、徹底した予防医療、予防医学をやっております。これをやはり、全部の皆さんにということにはならないと思うのですけれども、こういったやはりチーム医療というものを国として地域の医療と組むことによってどれだけの医療費の削減につながっていくかということを考えたときに、すばらしい効果があるのではないかなと思います。
 座っている姿を見ても、どこがこれから悪くなるだろう、今どこが悪いだろうかということも調査研究をしていまして、選手たちには、座り方一つで全て、足を組む方も、どこかにひずみがあるから足を組むのであってというところのメカニズムまで迫って、選手指導で予防医療、予防医学をやっておりますけれども、そういった包括的な医療のシステム、これからどのように厚生労働省としてはスポーツとそして医療というものを取組を連携させていくことができるかという、そういった政策がもしあればお聞かせいただきたいと思います。ほんのちょっとの時間しかありませんので、簡潔で是非お願いします。
 
 
○副大臣(竹内譲君) お答えいたします。
 先生御承知のとおりでございまして、チーム医療の意義や重要性についてはよく御存じのとおりでございます。
 看護師等の特定行為研修制度が昨年十月に施行されておりまして、看護師につきましては、指定研修機関に対する設備整備や運営に要する費用や、看護師が就労を継続しながら研修を受講できる環境を整えるためのe―ラーニング体制の構築に要する費用などに対する財政支援を行いまして、環境整備を行っているところでございます。
 今後とも、関係団体からの要望を踏まえまして、各医療従事者間の業務範囲の見直しなどチーム医療の推進方策について引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
 
 
○橋本聖子君 よろしくお願いします。ありがとうございました。